書籍
2010年05月17日
社長の幸せな辞め方
社長の幸せな辞め方―事業承継3つの選択
アタックスグループ【編著】
本書は、事業承継に関連して、様々な事例を紹介しながら、事業承継の典型的な3つの選択肢について紹介している。
1.後継者への事業承継
2.MBOやM&Aなどのキャッシュアウト
3.幸せな廃業
※会計事務所グループの書籍なので、内容は、テクニカルなことも多かったです。
どのケースにおいても、失敗例と成功例があるのは、言うまでもない。
ただ、読みすすめていくうちに考えさせられたことは、どの選択肢を選んだとしても
うまく行っているのは、「魅力的な事業」「魅力的な企業」であるということ。
将来性のある事業でなければ、よい人材も集まらないし、引き取り手もない。
財務体質が悪ければ、誰も承継したいと思わない。
プロスポーツの世界でも、様々な引退への考え方があるように、経営者にも様々な
引退への美学があると思う。
だからこそ、その美学を全うするためにも、どのような辞め方をしたいかを今から、
考えておくことは、重要な経営視点だと思わずにはいられなかった。
2010年05月08日
ニューポジショニングの法則
ニューポジショニングの法則
―勝つブランド負けるブランド
ジャック トラウト (著), 新井 喜美夫 (翻訳)
本書では、企業のブランドを効果的に活用して、マーケティング活動を行うために必要不可欠なものが、「ポジショニング」であり、「ポジショニング」とは「顧客のマインド」に定位置、居場所を作る作業である。と定義している。
市場変化に気づかずに「ポジション」をいつの間にか失う企業が非常に多く、「ポジション」を失った企業には、「リ・ポジショニング」が必要不可欠であることを事例を交えながら紹介している。
事例としては、会計事務所、政治家などの個人プロフェッショナルから、ソフトウェア会社、アイスクリーム製造販売業のような全国展開企業まで幅広く、マーケティングにおいて、「ポジショニング」がいかに必要かよく分かる構成になっていた。
印象的に残ったのは、常に「顧客のマインド」を中心に発想する思考そのものだ。ブランドを構築し、維持するためには、常に「顧客のマインド」を意識し続けなければらなないことを改めて確認できた。
2010年04月23日
スピードアップの秘訣はスローダウン
―仕事と人生をコントロールする52の法則 (単行本)
デビッド アレン (著)
年度末や年度初めは、日常の業務に追われて、新たな取り組みやチャレンジが出来ないジレンマに悩まされたりしませんか?
本書は、ストレスなく仕事を処理するための、原理と原則を優しく紹介した書籍だと思う。
印象深かった内容は、「スピードアップの秘訣はスローダウン」。
やりたいと思うことを思いっきりやれる時間・エネルギーが整うことは多くない。だから忙しいときこそ、全体を見渡して、リラックスしよう。全体を俯瞰すれば、意外とリラックスできる。と紹介している。
思っていても、できない・・・・。
しかし、いつも仕事を楽しめるようになるには重要なことですね。
2010年04月05日
セールスについて
自分の考えをまとめる意味も含めて、セールスに関する書籍を3冊まとめて
読んでみた。
あなたもこうしてダマされる
――だましの手口とだまされる心理
本書は、米国カリフォルニア州立大学心理学教授
である心理学者の書いた書籍である。
内容としては、「説得する」という行為について、様々な事例をもちいて解説して
いる。その活用シーンは、訪問販売、募金活動、ビジネスセミナー、企業
広告など、多岐にわたっている。
「心理戦」で絶対に負けない本
―敵を見抜く・引き込む・操るテクニック
伊東 明 (著), 内藤 誼人 (著)
この書籍も日本の心理学者が書いた本で丁寧に、
「説得する」こと焦点を当てた研究を紹介している。
その説得に必要な技法として、「三大説得テクニック」と呼ばれるものがある。
1.「フット・イン・ザ・テクニック」
2.「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」
3.「ロー・ボール・テクニック」
スーパー営業マンの書籍は、テクニックと心の持ちようが混じるので、自伝の
ようになっていて、感動はしても実践はしにくい。それと比較すると、心理学者
の書籍は、客観的で、しかもかなり実践的に様々なテクニックを研究、整理し
て解説してある。
ビジネスリーダーの「質問力」
―最前線で差がつく加速交渉術
青木 毅 (著)
本書籍は、もう時代が変わったのだから、お客を「説得する」
ことから、そろそろ脱皮したらだどうか?
と投げかけている。
インターネットが普及して、顧客は自分で情報を収集することができる。
どんどん賢くなる。そんな時代に「説得して」商品を販売しているから、業績が伸びない。
顧客のニーズを満たすために、必要なのは「顧客に質問すること」だ。
「質問」
の結果、自社の商品が顧客の抱える課題、問題解決できる、ニーズを満たせる
と判断すれば、提案。満たせないと判断すれば、売らなければいい。
3冊まとめて読んでみたことで、頭が整理された。1冊目・2冊目は、ためには
なったが、共感できなかった。しかし、3冊目で共感できました。私は、もともと
「営業は、ヒアリング力」と思い続けている。
その思いが確信に変わった。様々な意見や方法はあるだろうし、どれも間違い
ではないと思う。しかし、私は当分、セールステクニックの書籍は読まないだろう。
2010年03月10日
「自分ごと」だと人は動く
「自分ごと」だと人は動く (単行本)
博報堂DYグループエンゲージメント研究会 (著)
この書籍は、次世代のコミュニケーションやマーケティングを考える上で非常に
重要な示唆をしている。
今までの社会は、メディアからの情報を一方的に「受け取るだけ」であった。
だからこそ、メディアの影響力は絶大だった。
しかし、インターネットの出現により、メールやブログなどを活用して、何万、
何十万の人々と情報を共有することができる。
今まではメディアの特権であった「情報を発信する力」を個人が持ったのである。
このことにより、個人はメディアの影響を受けにくくなり、その趣味、嗜好は
細分化されていく方向にある。
だからこそ、企業が今まで行っていたような一方的な売り込みや広告活動は、
ユーザーに無視される傾向が強まっている。
では、「これからの時代に必要なことは何なのか?」という問いに対して、書籍
のタイトルになっている「自分ごと」というキーワードを紹介している。
つまり、今までのように一方的に情報を受け取るだけではなく、「自分ごと」
としてユーザーが参加する仕組みが必要なのだ。
非常に明確に紹介していた概念としては、今までは「B to C」という考えが
主流であったが、これからは、「B with C」が主流になる。
つまり、ユーザーと一緒に価値観を共有しながら、サービスなりブランドなり
を構築していくというのである。
この「自分ごと」というキーワードはマーケティングだけにかぎることなく、様々
な社会問題や業界問題への取り組みについても同じことが言える。
同じ志、趣味、嗜好を持った仲間が、自然につながり、自分ごととして活動する
ならば大きなうねりや影響力を持つことができる。
そして、誰かの思惑ではなく参加者の意思で新たな価値を創造できるものである。
まさに今、立ち上げを行っている保険代理店経営革新アカデミーの運営思想
と一致していた。
本書をご紹介いただいたアカデミーメンバーの石郷さんに感謝です。